クリスマスなのに俺何やってんだろ

 

 

「すまない、俺の耳かないしは頭が悪かったかのかもしれない、もう一度だけいってくれ」

殺風景な事務所で俺は頭を抱えていた。

目の前にいるのは女の子のバイトが着てるようなトナカイのスーツ。

しかもこんな冬にもかかわらずミニスカートだ。

「あ、あの、サンタとはぐれたんで、サンタを探していただけないでしょうか?」

あぁ、とりあえず俺の頭脳も耳も正常みたいだ。

「とりあえず、一つすごく気になることがあるんだ、あまりにも情報量が過多すぎるんで一つづつ整理していこう」

「は、はい」

何処かおびえた様子で、トナカイのコスプレは頷く。

「お前の格好は人間としてみると女性なんだが、その角は何なんだ?」

そう、彼女の頭にはがっつりと雄のような角が生えているのである。

「えぇと、雌です・・・。基本的にそりを引くのは雄の役割なんですが、今年は引く雄のかたが風邪で休んだんでたまたま暇だった私に声がかかったんです。なんか私は雌なのに立派なものを持ってるって」

立派なものって・・・。

「ふむ、もう一つ、何で俺のところにきた?」

とりあえず疑問をぶつける、確かにこういた不思議現象を取り扱っていることは取り扱っているがもっと大手だってあるんのにという疑問である。

「えぇ、と、浜場さんという方に『ここが一番確実よ』っていわれたんで」

「浜場とはどこであった?」

「へ、ひえっ」

ふむ、浜場の名前を聞いて少し語気が荒くなったようだ。

「浜場のやつとどこで知り合った?」

軽く頭痛がしてきたので頭を抑える、あの天災女が関わって俺が精神的肉体的に平穏ですんだ話がない。

「えぇと、私が困ってたらいつのまにか隣にいて・・・」

「そうそう、それで身の上話を聞いてあげてもっともその状況をうまく解決できるであろう人を推薦しただけよ? あら、岸辺君どうしたのかな? まるで疫病神を見るような目つきだけど?」

「あぁ、浜場嬢、貴方が絡んだ仕事で私がどれだけの損害をこうむったかを知らないとは言わせませんよ」

「それじゃぁ、お金、きっちり耳をそろえて返してもらおうかしら?」

「ぐっ」

ぐうの音もでないというのはこの事だ。

俺の人生で三つの間違えを上げろといわれれば

小学生のときに好きな女の子に告白し損ねたこと

紫和魔道学園に進学したこと

そしてこの女に金を借りたことだ

「んでね、この子の以来達成報酬は私が払うわ、そうね・・・。60万ぐらいでどうかしら? 私の借金からひいておくわ」

とりあえず逆らえないのでおとなしく従うことにする。

「わかったが、情報が圧倒的に足りない」

「眼鏡外せばいいじゃない」

「簡単に言ってくれるな」

きょとんとしていたトナカイが慌てて口を開く。

「そ、それじゃぁ・・・。」

「あぁ、引き受けるよ、こいつには逆らえないからな」

「あ、有難うございます」

「とりあえず、問題はお前のことを向こうが探しているのかってのが問題だな・・・」

頭を掻きとりあえずの情報を整理しようとする。

「たぶん、私のことは探してないと思いますよ、こういうことは日常茶飯事ですし、何人か死んだって話もききますし」

どんだけハードな職業だよ。

「サンタってのがものすごい訓練を受けたエリート集団だってのはきいたことはあるけどそんな厳しい仕事なの?」

浜場も驚いた表情で口をあんぐりとあけている。

「えぇ、とりあえず、私たちも降下訓練と閉所魔道戦闘訓練は受けてます」

「それって対魔道テロ部隊とかが受ける訓練だよな・・・。」

思わずため息が漏れる。

サンタクロースってもっとメルヘンチックな存在だと思ってたがやはり・・・。

「時々官憲の方とドンパチを繰り返すこともありますし」

「お前ら何をやってるのかって言うのをちょっと詳しく知りたい気がしてきた」

首を軽く横に振り雑念を振り払う。

「お前の話からすると、サンタはお前のことを放置して住処に戻るってことか?」

そうだとすればめんどくさい事になる。

「えぇ、多分・・・。」

「ハルカァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

窓ガラスが割れると同時に赤い服をきたマッチョな親父が乱入してくる。

「サンタ翁っ!!」

なぜか感極まったようにトナカイが声をあげる。

とりあえずね目が殺気を帯びている、んでその視線がこっちを向いてるの。

これはねマジでやばいと思うね。

思わず俺の口調が変わるぐらいやばいよね。

もうね、なんかフシューとか言ってやがる、完全に目がトランスしているという。

「貴様か、うちの可愛いハルカを手篭めにしたのは」

「サンタ翁、ちが・・・」

「お前は黙っておれっ!!」

うわぉ、猪突猛進タイプですか・・・。

「フン」

サンタ翁と奇しくも向き合う形になった。

一瞬意識が飛び視界が真っ赤に染まる。

壁にたたきつけられ息が途絶する。

「フン、軟弱ものが」

サンタ翁は腰を落とし静かに構える。

「ちょっと待て、何でおれが吹っ飛ばされなきゃいけないんだ」

背中に残る痛みを無理やり無視し声を張り上げる。

「貴様がハルカをたぶらかしたからだ」

じりじりと間合いを詰めつつサンタ翁が口を開く、俺のほうももう一回やられるのはいやなので俺も臨戦態勢を整える。

先に踏み込んだのはサンタ翁、俺は突き出された拳を体に巻きつけるようにして回避、その勢いで肘を使い肝臓を打ち抜く。

「甘いわっ」

サンタ翁はまるでダメージがなかったかのようにその場に踏みとどまり膝を入れてくる。

それを何とか受け止める。

この爺さん化け物だ、普通なら肝臓打ち食らった時点で倒れるだろ。

「フン、ただの軟弱物かと思えばなかなかできるじゃないか」

「お褒めに預かり恐縮です、それついでに俺のはなしを聴いてもらえると嬉しいんですが」

何とか会話ができそうなので意見を言ってみる。

「だが、ハルカはお前にはやらん」

とりあえず、意味がわからんし、人の話をこの爺さんは聞く気がないようだ。

仕方がないので、眼鏡を外し、邪視を発動しようとする。

側頭部に鋭い痛み、視界が一転する。

「邪視持ちとはな、危うくやられるところだったわ」

いつのまにか俺は地面に押さえつけられていた。

ご丁寧に顔の正面をゆかに向けるようにしてだ。

「情けないわね」

ため息とともに浜場がはき捨てる。

「とりあえず、この爺さんのスペックが異常すぎるだけだ」

抗弁してみるが顔が床に押し付けられているためにふがふがという声にしかならない。

まぁ、何というか情けないことこの上ない。

「ハルカ、帰るぞ」

サンタ翁はそういうとひょいとトナカイ娘を担ぎ上げて破った窓から出て行く。

 

「あれは一体なんだったのかしらね?」

割れた窓ガラスを片付けている俺の隣で浜場が勝手に入れたコーヒーを飲みつつたずねてくる。

「さぁね、とりあえず予定していたよりもより厄介だったってのはいえる。」

「あぁ、あと今回の話はあんたが解決したんじゃないから報酬はナシね」

何といいましたかこの馬鹿女は?

「なに。何か文句でもあるの?」

「んやなんでもないが、俺の殴られ損か?」

とりあえず抗弁してみる。

「それはあんたが弱いからでしょ」

ばっさりと切って捨てられる。

「とりあえずね私は面白かったから良かったわ」

「俺はお前のおもちゃじゃないんだが?」

「似たようなもんでしょ?」

とりあえず俺は浜場にどうやっても勝てない運命にあるらしい。

ため息をつき、ちらほらと舞い始めた雪を見上げる事にする。

今年の冬も寒くなりそうだ。

 

これは後日談であるが、サンタ翁が菓子折りと窓の修理代金を持って謝りにきたことを追記しておく。

 

 

後書きというか言い訳

現在リハビリ中ですが、無理してでも上げてみるテスト。

まぁ、途中で話がまとまらなくなって切ったんですよね。

読む人が読めば分かるとは思います。

まぁ、一応形はなしてるんで・・・。OKとしておきましょう。

それでは次回は多分正月あたりになると思います。

それでは失礼します。

 

 

 

小説置き場のほうに戻ってみる